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黄鐘調の鐘として有名な妙心寺の梵鐘。その響きは毎朝夕に欠かされることなく響いている。現在、国宝黄鐘調鐘(おうじきちょうしょう)は妙心寺法堂内に安置され、撞かれることはないが、復元された二代目の黄鐘調鐘を鐘楼の中に見ることができる。 ![]() 妙心寺 梵鐘の音は夕焼けに溶けて 梵鐘の音を朝と夕に聴くことができると聞き、所用を済ませ、急ぎ夕方の京都花園へと向かった。午後6時過ぎ、妙心寺の境内は拝観時間を終え、近所の人たちが思い思いに散歩をしている。高校生のこぐ自転車が、砂利を切って走り抜ける音。敷石に爪音を響かせた犬の足音と、後からついてくる飼い主の足音。祖母の手にひかれた幼児のはしゃぐ声。これら日常生活の姿は、昼間の観光客との対比が面白い。そこには妙心寺が花園という町の一部であることがうかがえ、ほのぼのとした気持ちにさせられる。 午後6時30分、鐘楼入り口の扉が開けられ、人影が中へと消えていく。いよいよ晩鐘が聴ける。じっと耳を澄ますと・・・・「コーーン」と木板を叩くような音。梵鐘の音ではない。 梵鐘の音が聴こえてこないことを不思議に思いながらも、その場で耳を傾けていると、面白いことに気づかされた。木板を叩くような音から大太鼓の音、そしてまた木板を叩くような音、そして大太鼓と鉦の音が続く。まるで梵鐘が登場する前の序曲を奏でているようである。 ○ 導入部 1.木板のようなものを叩く音 ![]() 2.大太鼓 ![]() 3.木板のようなものを叩く音 4.大太鼓+鉦 ![]() ○ 展開部 やがて梵鐘が登場。想像していた音よりも音色が明るい。基音と部分音が絶妙に混ざり合い、その音のバランスが明るい和音となって響いているのである。聞こえの部分を中心に採譜した(各部分音は大熊氏の研究を参照)。 ♪梵鐘の音を聴く♪ [wavファイル][movファイル]792KB(平成17年8月23日録音) ![]() ○ 終結部 大太鼓+鉦 ![]() この晩鐘の間が約15分。ゆっくりと時間が流れていくようである。始まりから終わりまで、空の色が少しずつ変化していく中で、より一層鐘楼が浮かび上がり、眼前に迫ってくるようである。柔らかく明るく、そして暖かい音色は、夕焼けの輝きにも似ている。 臨済宗妙心寺派 大本山妙心寺 (りんざいしゅうみょうしんじは だいほんざんみょうしんじ) ![]() 鐘楼 南北朝時代建武4年(1337)が開創の年である。現在の妙心寺の地には花園上皇の離宮(萩原殿)があったとされている。花園上皇は、建武2年(1335)に落飾して法皇となった。花園法皇は、大徳寺を開いた宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)禅師に参禅して印可され、また萩原殿は、宗峰妙超の弟子であった関山慧玄(かんざんえげん)禅師を師として禅寺となり、正法山妙心寺と命名された。 応仁元年(1467)、応仁の乱が起こり竜安寺と共に伽藍を焼失したが、中興の祖である雪江宗深(せっこうそうしん)禅師が後土御門院(ごつちみかどいん)から妙心寺再興の論旨を得て再興した。 現在は、塔頭46ヶ寺、末寺は日本をはじめ世界各国にわたり3400ヶ寺余りである。 妙心寺鐘の各部分音の周波数 ここで大熊氏の調査研究データから、実際にどのような音が鳴っているのかをご紹介する。実際の研究は、基音(f1)に対する周波数比(f2以降)で表されているが、それを具体的な周波数に置き換えたものが以下の表である。 ![]() 参考文献 栗原正次「梵鐘における部分音の強度分布の時代的変遷」日本音響学会誌37巻第12号(1981) 大熊恒靖「梵鐘の音の部分音に関する時代的変遷」日本音響学会誌54巻第2号(1998) ・http://www.myoshin.com/ 妙心寺Webサイト
《次回は2月初旬掲載》
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