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イメージ 連載:温故知新3 〜人体彫刻制作における“型とかたち” 5〜
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イメージ 矢野 真
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こまで新しい造形性としての「直取り」について述べてきたが、ここで筆者の行っているライフ・マスクの「直取り」の工程について紹介したい。
 通常の「型取り」においては、石膏やシリコーンを用いることが一般的であるが、人体から素早く「直取り」を行う方法としては、アルギン酸印象材を用いることが多い。この材料は、皮膚のしわや指紋などを精密に取ることが可能である。
 その中でも「AIM〈アイム〉造形材」(極東化研工業)は、実際に使用した印象材の中でも特に優れたものといえる。硬化剤として石膏を用い、その石膏を後から混入して撹拌することで硬化のタイミングをはかることが可能で、硬化時のタイミングが色(未硬化状態ではピンク色、硬化時は白色)により判別が可能である。他のものは石膏があらかじめ混入されているものが多い。また色も硬化時に変わらないので硬化のタイミングがはかりにくく、粉末が溶けきらずにダマ(撹拌ムラによって生じる)ができやすい。他にもAIMは硬化終了後のゴム状の弾性力が最もよく、ちぎれにくく丈夫であることが特徴である。
 しかしながら現在、諸事情により「AIM造形材」は生産を休止している。是非とも、一刻も早い生産開始を願っている。こんなにも優れたアルギン酸印象材は、後世に残していかなければならないものなのだから・・・。
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 さて、ライフ・マスクを「直取り」する際、息抜きとして口や鼻にストローなどを入れて取る方法が一般的であるが、ここでは息を止めた状態を保ちながら30秒以内で取る方法を紹介する。この方法では、取り出した原型に大幅な修正を加えることは不要で、よりモデルを忠実に取ることが可能であるという利点がある。
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〈「直取り」の工程〉
1.
「直取り」をするにあたり、まずアルギン酸印象材の粉末にぬるま湯を加えて30℃前後のペーストをつくる。
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2.
あらかじめ計量していた10〜15%の石膏を混入撹拌する。〈0〜30秒〉
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3.
顔が入る洗面容器に撹拌したアルギン酸印象材を移して、しばらく待機。〈30〜80秒前後〉
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4.
気泡が入りやすい小鼻の横、目頭と目尻、口の端にアルギン酸印象材を少量つける(図1)。
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5.
アルギン酸印象材に白い斑点状のものが浮き出てくるのを待つ(図2)。〈120秒〜150秒前後〉
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6.
白い斑点が出てきたら顎からゆっくりと入れ、鼻の頭が洗面器の底につかないように注意し、顔全体を入れる(図3)。
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7.
白色硬化が完了する。この間、モデルに不安を与えないように秒数をカウントする。顔をつけている時間は、約20〜30秒程度である。〈150〜180秒前後〉
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8.
完全に硬化したら顎からゆっくりと上げて呼吸ができるようにし、顔をはずす(図4・5)。
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9.
型が歪まないように石膏を溶き流し込む(図6)。すぐに流し込むことができないときは、水をいっぱいに張っておくことにより、型の歪みを防ぐ。
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10.
「直取り」の原型完成(図7)。
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 このような工程を経て、原型が完成する。この原型をさらにシリコーン取りを行って雌型をつくり、そこにエポキシ樹脂を流し込んで作品の下地が出来上がる。
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(図1)気泡がはいらないようにアルギン酸をつける
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(図2)ピンク色に白い斑点が浮き出てくる
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(図3)顔全体をつけた状態
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(図4)呼吸ができるように顎からはずしていく
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(図5)「直取り」ができたアルギン酸の型
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(図6)型に石膏を流し込む
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(図7)アルギン酸による原型
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<参考資料>
1. 矢野 真「ライフ・マスク直取り技法とその考察−アルギン酸印象材を中心に−」1998 美術解剖学雑誌 第4巻第2号 pp37−42
2. 矢野 真「型とかたち−人体彫刻制作における『直取り』のもつ意味」2006 美術解剖学雑誌 第10巻第1号 pp28−37

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