メインロゴ 九州国立博物館
イメージ
メインロゴ 九州国立博物館
メニューバー01 メニューバー02 メニューバー03 文字 変更 文字 小 文字 中 文字 大
トップページ
お知らせ
展示情報
催し物
ご利用案内
収蔵品ギャラリー
データベース

よくあるご質問
イメージ
Webオリジナル ろじ
イメージ
イメージ
イメージろじ[路知]
......................
イメージ温故知新4
イメージ第一回
イメージ第二回
イメージ第三回
イメージ
イメージ温故知新3
イメージ第一回
イメージ第二回
イメージ第三回
イメージ第四回
イメージ第五回
イメージ第六回(終)
イメージ
イメージ温故知新2
イメージ第一回
イメージ第二回
イメージ第三回
イメージ第四回
イメージ第五回
イメージ第六回(終)
イメージ
イメージ温故知新1
イメージ第一回
イメージ第二回
イメージ第三回
イメージ第四回(終)
イメージ
イメージ イメージ :ページ印刷
イメージ 連載:温故知新3 〜人体彫刻制作における“型とかたち” 3〜
イメージ
イメージ 矢野 真
イメージ
の19世紀、先のクレザンジェの例を出すまでもなく、生きたモデルからの型の直取りは、彫刻制作のプロセスや習作における研究としては、当時のアトリエではごく普通のことであったらしいが、それが実際に完成作となると話は別であったようである。アントナン・メルシエ(Antonin Mercie, 1845−1916)は、「ダヴィデ」(1869−72)において、「直取り」を非難されたが、うやむやのままに切り抜け、アカデミーに君臨したとあり、「直取り」を非難されると同時に、それを作品としていた有名作家がいたことがわかる。
イメージ
 20世紀に入ると、古典的な人体美の支配力が失われ、抽象形態にあらわれるような人体そのものから導き出される美に代わり、新しい造形性を追求する作家があらわれるようになった。そうした中から、ヌーヴォー・レアリスムやポップアートに代表される作家、例えばイヴ・クライン(Yves Klein, 1928−1962)のように生身の人間から直接拓本を取る、またはジョージ・シーガルのように型を取る「直取り」などの手法を取り入れるようになり、それまでのタブーであった表現や手法を越えて、生々しいまでに人間のリアリティの追求を獲得するようになる。
イメージ
 このように、人体から直接型を取る「直取り」は、ルネッサンスの時代以降からデス・マスクやライフ・マスク(図1)、また作品習作の研究などを中心としてすでに行われていた。しかし、1960年代に始まる新しい造形性が追求されるまでの時代、「直取り」を作品制作に直接用いることは、その当時の作家にとって戒められるべきものであり、こうした手法は常に否定し隠される方向にあった。それら理由を考えてみると、次のように四つに整理できるのではないだろうか。
 第一に、死者の顔の型を取るデス・マスクに「直取り」が用いられていることにもあるように、この直接的な型抜きは当時の作家たちにとって一種の死を意味していたことがあるのではないか。つまり、作品はヴィヴィットな躍動感に富むものであり、作品が死を連想させないよう、そしてかたちが死んだものとならないように「直取り」を明確に区別する必要があったのではないだろうか。
 第二に、オーギュスト・クレザンジェの作品にみられるように、「直取り」が生々しく性的な罪悪感を連想させたことにより忌避されたことも考えられる。それと特定できる高級娼婦なる人物が実際になまめかしい姿でポーズを取る姿は、人々にとって作品という昇華された美とはならず、生々しい通俗的なイメージを連想してしまうことがある。
 第三に、主題によっては、実際にモデルがいても、その人そのものであってはならず、一種の神を表現する像でなければならない。それには「直取り」という技法はあまりにも型取りした現実のモデルそのものになってしまい、これを否定する必要があったように思われる。ロダンの「青銅時代」が「直取り」の疑惑をかけられ、非難を浴びたのもそのような背景がもとになっている。これは当時の人々の、彫刻は人間の理念や理想をあらわすものであり、彫刻は青年をモデルにしてはいても、一種の神をあらわす像でなければならなかった、ということがうかがえる。
 そして第四に、メルシエの「ダヴィデ」のように「直取り」を用いて作品を制作し、それをあたかも自分の手で仕上げたように修正し、カモフラージュすることによって作品化してしまう作家がいたということが、見掛け倒しの技量として「直取り」を否定する方向にいったのではないか。
イメージ
 「直取り」自体が軽視される背景をまとめれば、死のイメージや性的な罪悪感を連想させること、また人間の理念や理想をあらわすことこそが重要であり、モデルの現実の生活を思わせることは避ける、芸術に対する志向と同時に、あたかも自らの手で作り上げたように偽った、いわゆる“いかさま”が行われていたことなどであった。
イメージ
イメージ
イメージ
イメージ
(図1)直取りによるライフ・マスクと手
イメージ
イメージ
イメージ
<参考資料>
・ 矢野 真「型とかたち−人体彫刻制作における『直取り』のもつ意味」2006美術解剖学雑誌第10巻第1号pp28−37
・ 高橋幸次「レアリスム時代の彫刻」『世界美術大全集第21巻』1993小学館pp356
・ 中原佑介(1987):『現代彫刻』.初版,美術出版社
・ エドワード・ルーシー=スミス 著,岡田隆彦・水上勉 訳(1986):『現代美術の流れ』.初版,PARCO出版
・ フィリス・タックマン 著,酒井忠康・水上勉 訳(1990):『ジョージ・シーガル』.初版,美術出版社
・ 東京国立近代美術館編(1996):『身体と表現 1920−1980ポンピドゥーセンター所蔵作品から』.NHK
イメージ
イメージ
イメージ
イメージ
イメージ
イメージ〔インフォメーション〕
矢野 真 展 〜輪廻の扉〜
ギャラリー52(東京都千代田区飯田橋3−2−12)
電話:03−5226−9271
http://homepage3.nifty.com/g52/
イメージ
2006年12月11日(月)〜19日(火)
11:00am〜7:00 pm(最終日5:00pmまで)
イメージ
イメージ
イメージ
「輪廻−1814」
h87×w52×d48cm

イメージ

イメージ
イメージ このページのトップへ
イメージ
このサイトについて::お問い合わせ::関連リンク集::サイトマップ
Copyright © 2006 Kyushu National Museums