
ろじ[路知]
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連載:芋のおもしろ大変身 〜江戸時代の料理書「甘藷百珍」〜

津路野 里子

テーマ 「芋のおもしろ大変身」〔2〕
牛蒡射込いも(ごぼういこみいも)
藕根射込いも(れんこんいこみいも)

江戸時代の料理書『甘藷百珍』をもとに料理を紹介します。

今回は『甘藷百珍』前回紹介した「色付いも」を使い、おもてなしにお勧めの綺麗な料理2品「牛蒡射込いも」と「藕根射込いも」紹介します。

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色付いもを牛蒡や蓮根の穴に詰める料理です。まるでお花が咲いたように変身する華やかな料理です。色付いもから作ると、少し手間がかかりますがそれだけ満足できる出来栄えです。作る人も楽しく、食べる人も楽しい♪色を変えたり混ぜたり、自分のオリジナルで作って料理の楽しさ面白さを感じてください。

牛蒡射込いも
牛蒡三寸ほどにきり、ざつと湯烹て中の心を取り、稀豆油味つけ、蒸いもの馬尾篩ごしを牛蒡の中へ入、小口切。色は見合付よし。(ごぼうを三寸(約10cm)ほどに切り、ざっと煮て中の芯を取り、薄口醤油で味をつける。これにすいのうでこした蒸いもを入れ、小口に切る。色は考えてつけるとよい。)

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千葉の大浦牛蒡
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藕根射込いも
藕根長さ二寸ほどにきり、よく湯烹し、蒸しいもの馬尾篩ごしを十八色付にして竅の中へ入れ、小口きりにす。(蓮根を長さ二寸(約6cm)くらいに切り、よく煮る。蒸しいもをすいのうでこしたものに、十八の色付いものような色づけをして、蓮根の中へ入れて、小口切りにする。)
料理の由来等
射込みとは、筒状のものに材料を詰めたり、抜き筒で牛蒡や人参に穴をあけ、その穴の中に、料理を詰めることを言います。細い牛蒡は穴があけにくいので関西の梅田牛蒡や千葉の大浦牛蒡などの太い牛蒡を使うといいです(1)。

材料および調理法の時代的考察
牛蒡:キク科に属する1〜2年草本。地中海沿岸から西アジア・シベリア・中国に広く野生し、日本には野生していません。しかし、渡来年代は古く、縄文時代の遺跡から種が出土しています(2)。渡来理由は、薬物を記載した『本草和名』(918年)の草の部にキタキス、ウマフブキという名で載っている事から薬用として導入されたと考えられます(3)。また、牛蒡が、食用として栽培しているのは日本だけで、平安中期の『和名抄』(931〜37) に食したという記録があります(4)。
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現在の堀川牛蒡
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太い牛蒡は昔からあったようで、江戸時代の有名な農書である『農業全書』(1696年)の牛蒡の項には、京都の八幡牛蒡の図があり、「八幡牛蒡のたね越前より取来り用ゆという」と説明していたり、『成形図説』(1804年)では八幡牛蒡は「根短太く尾の小根あり」と記され、この特徴からみて、越前白茎牛蒡か堀川牛蒡に似た品種があったと思われます(5)。

射込み:筒状のものに材料を詰めたり、抜き筒で牛蒡や人参に穴をあけ、その穴の中に料理を詰めることをいいます。印籠漬けも射込み料理の1つといえます。印籠漬けとは丸漬けした胡瓜、白瓜などの両端を切り、中をくり抜き紫蘇、若生姜、唐辛子などを詰めて再び漬けるものです。切り口が印籠に似ていることからこの呼び名がついたそうです。そもそも、印籠とは腰から下げる長円筒形の小箱で、印判を入れたり室町時代からは薬を入れるものです。武士の礼装の装飾品でもあります(6)。

作り方
2「牛蒡射込いも」

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牛蒡射込いも(2〜3人分、15個)
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〈材料〉
牛蒡(大)1/3本
(直径2.5cm・長さ30cm)
酢t1
[だし汁](300cc)
水400cc
鰹節5g
薄口醤油t3みりんt1
酒t1
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〈作り方〉
〔1〕牛蒡をきれいに洗い、包丁の裏で皮をとる。
〔2〕〔1〕を水と酢の入った鍋の中に入れ、約15分中火ゆでる。
〔3〕〔2〕を冷まし、ナイフ等で牛蒡の芯をくり貫く。
〔4〕鰹だしをとり、調味料を入れ温める。
〔5〕〔4〕に牛蒡を入れ約10分中火で煮る。
〔6〕火から下ろしそのまま冷ます。
〔7〕キッチンペーパーで水気を取り、中に色付きいもを入れ長さ2cmくらいに切る。
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芯をくり貫いた牛蒡
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太めの牛蒡
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ゆで上がった牛蒡
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少し大きめの牛蒡を使えば芯取りは難しそうですがうまくいきます。


3「藕根射込いも」
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藕根射込いも(4〜5人分、16個分)
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〈材料〉
蓮根(小)
2個(300g)
酢t1
[だし汁〕300cc
水400cc
鰹節5g
薄口醤油t2
みりんt1
酒t1
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〈作り方〉
〔1〕蓮根をきれいに洗い、ピーラーで皮をむく。
〔2〕〔1〕を水と酢の入った鍋の中に入れ、中火約20分ゆでる。
〔3〕鰹だしをとり、調味料を入れ温める。
〔4〕〔3〕に蓮根を入れ約15分中火で煮る。
〔5〕火から下ろしそのまま冷ます。
〔6〕キッチンペーパーで水気を切り、蓮根を花形に切る。中に色付きいもを入れ、厚さ7mmくらいに切る。
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ピーラーで皮を剥く

ゆで上がった蓮根
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蓮根を花形に切ると綺麗になります。お好みでどうぞ。
蓮根を花形にすると…。

次回は、サツマイモがたくさんあって困った時つくっておくと便利な保存品を紹介します。お楽しみに!!

参考文献
(1)川上行藏・西村元三郎『日本料理由来事典』中、同朋舎出版、1990、P.88
(2)岡田哲『たべもの起源事典』東京堂出版、2003,P.166
(3)青葉高『ものと人間の文化史・野菜」、法政大学出版局、1991、P.278
(4)川上行藏・西村元三郎「日本料理由来事典」上、同朋舎出版、1987、P.437
(5)青葉高『ものと人間の文化史・野菜」、法政大学出版局、1991、P.278
(6)日本国語大辞典第二版編集委員会小学館国語辞典編集部『日本国語大辞典』第二版第2巻、小学館、2001、P.96

《次回は1月初旬掲載予定》

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プロフィール:
津路野里子(つじの・りこ)
栄養士
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