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イメージ 連載:アジアと九州をつなぐモノ 〜馬と民具の"物"語〜 第一回
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イメージ 小島 摩文
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 みなさんは、馬具というと何を思い浮かべるでしょうか? 多くの方は、まず「鞍(くら)」を思い浮かべるようです。調査をしていても「馬具」というと、まず鞍の話になります。古くから「鞍具」という言葉があり、これはいわゆる馬に装備する馬具のそろいを指します。一般的には轡(くつわ)、鞍、面懸(おもがい)、胸懸(むながい)、鞦(しりがい)、鐙(あぶみ)等が含まれます。大きさや重さでいえば、鞍が一番大きく、重たいので存在感があり、やはり、鞍は馬の装備の中心ということなのかもしれません。馬具を大きく分類すると、面懸の部分と鞍の部分に分けることができます。轡は面懸につけられ一組になります。胸懸、鞦、鐙はすべて鞍につけられていています。
 私が主に研究しているのは面懸の部分です。現在では西洋馬術の翻訳語として定着した「頭絡(とうらく)」ということばが用いられています。ここからは頭絡と表します。鞍が馬に乗るための道具だとすれば、頭絡は馬を制御するための道具だといえます。
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 頭絡には轡(くつわ)がついています。現在では轡のことは一般に「ハミ」と呼ばれているので、以後「ハミ」と呼びます。ハミは馬の口にかませて、ずれないように頭絡でとめています。ハミに手綱がついていて、手綱を引くと馬の口角にハミがあたります。これによって御者の意志を馬に伝えます。
 多くの方がこのハミがないと馬は制御できないと考えているようですが、実はハミを使わない制御方法というのも意外と広い範囲で行われています。ハミを使わない方法は西洋馬術や競馬などでも、引き馬の際に行なわれます。そのときには無口頭絡というハミを使わない頭絡を用います。日本では農耕馬や荷馬(駄載馬)はハミを使わないのが普通で、明治に入ってから徐々に農村部にもハミが普及していったようです。
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 ハミを使わない頭絡の中でも、変わっているのが木の棒や板を使った頭絡で、私は棒締頭絡と呼んでいます。写真(1)は沖縄県の与那国島の棒締頭絡です。二本の棒を結んで鼻梁に掛け、両下端に手綱を通してあります。棒締頭絡は日本では主に南西諸島でよく使われており、1998年の私の調査では、沖縄県で馬を個人で飼っているほとんどの方が、馬を棒締頭絡で制御していました。また、北海道でも少し形は違いますが同様の機構の馬具が使われています。
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 1995年におこなった中国四川省の調査で、中国大陸にも棒締頭絡がおこなわれていることがわかり、その後、タイ北部、ラオス北部などでも棒締頭絡が行われていることがわかってきました。
 これらの地域ではいずれもいわゆる小型馬を使っています。馬の高さは蹄から肩まで、すなわち馬の前足を地面から肩まではかったものです。110cm位から大きい馬で140cm位です。多くは120〜130cm位の体高です。現在競馬で走っているサラブレッドが160cm位なので小さいということがよくわかると思います。
 この連載の紹介文で、「日本在来馬はもともと大陸や半島から人が運んできたと考えられる」と紹介しましたが、馬は大陸からやってきただけではなく、日本から大陸へも運ばれていきました。琉球は朝貢貿易の輸出品として馬を大陸に送り出していたのです。
 大陸では棒締頭絡と、無口頭絡が混在して使われています。それに対して沖縄では棒締頭絡がふつうの頭絡で、それ以外の頭絡をほとんど見ることがありません。
 なぜ、ハミや棒締頭絡、無口頭絡とさまざまな制御具が混在しているか、考えてみたいと思います。
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写真(1)与那国島の棒締頭絡棒締頭絡
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写真(2)四川省の棒締頭絡棒締頭絡
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写真(3)ラオス北部の棒締頭絡棒締頭絡
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写真(4)ラオス北部の棒締頭絡棒締頭絡
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《次回は6月初旬掲載》
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イメージプロフィール:
小島摩文(こじま・まぶみ)
鹿児島純心女子大学国際人間学部助教授
同大学こども文化研究センター副所長
専門は民俗学・おもちゃ文化論
「薩摩日置八幡御田植祭考」
(下野 敏見 編『民俗宗教と生活伝承 - 南日本フォークロア論集 - 』、岩田書院)
「薩摩の馬」『新薩摩学 1』(南方新社)
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