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文化庁海外展記念 『日本のやきもの』 - 選び抜かれた名宝120点 - 平成19年7月7日(土)〜8月26日(日) 特別展示室 ![]() やきものの国、日本。世界の中で日本人ほど豊かなやきものの歴史を持つ民族はないでしょう。例えば、太古の美を伝える縄文土器、中国陶磁への憧憬から生まれた奈良三彩や古瀬戸、茶の湯のための桃山の陶器、世界を魅了した有田の磁器。時代の展開にあわせて、時には時代の流れを越えて、日本では新しいやきものが次々と生まれ、愛されてきました。 本年秋、文化庁は西洋を日本に伝えてくれたポルトガルの地で、日本の美を紹介する展覧会を開催いたします。そこで展示されるのは、日本の美を象徴する縄文時代から現代に至るまでの日本のやきものの精華です。今回の展覧会はこれを記念して、日本を代表するやきものの地である九州の地を選んで開催されるものです。 原始・古代から中世、近世、さらには近現代にいたるまでの「日本のやきもの」の長く豊かな道のりを、選び抜かれた120点の名品によって紹介し、日本のやきものの技と美をご覧いただきます。これに加えて、日本のやきものの成り立ちに深い関わりを持つ中国などの海外のやきもの18点をあわせて展示することで、日本のやきものに対して国際交流という角度から光を当てています。 今夏、九州国立博物館に集まる選び抜かれた120点の名宝を通して、日本のやきものの素晴らしさを感じていただきます。
ローソンチケット(Lコード 85250)、チケットぴあ・ファミリーマート(Pコード 687-379)ほか主要プレイガイド、及びJR九州みどりの窓口・ジョイロード各支店で発売 .................................................................................... .................................................................................... 九博と個人をつなぐ『ぶろぐるぽ』第3回、エントリー募集中! .................................................................................... 特別展、準備風景… [見る] .................................................................................... 西日本新聞サイト:[リンク]
第1章 誕生 〜原始・古代のやきもの〜 1万2千年前、世界最古ともいわれる縄文土器が生まれました。各地で特徴のある土器がつくられ、特に信濃川流域では燃え盛る炎をイメージしたかのような火焔土器が作られました。古墳時代には朝鮮半島から新技術である窯がもたらされ、硬い灰色の須恵器が生まれ、奈良・平安時代になると中国の三彩や青磁などを手本に釉のかかった陶器が作られました。第1章「誕生」では、土器が誕生し、磁器以外のやきものに関する基本的な技術の誕生を見ることができるでしょう。 □ 主な作品 ![]() 把手付深鉢(とってつきふかばち) 縄文土器 縄文時代中期(BC.20世紀) 高39.5cm 口径36.0cm 最大径 36.0cm 名古屋市博物館蔵 円筒形の深鉢で上半を大きく開き、口付近の4方に鳥形状(とりがたじょう)に立ち上がる大きな突起をつけています。火が燃えさかって火焔(かえん)をあげているものととらえ火焔土器と呼ぶこともあります。新潟県信濃川流域に見られる特徴的な土器で、堂々とした姿に躍動的な動きがあり、縄文土器の一つの到達点を示すものです。 ![]() 【重要文化財】緑釉四足壺(りょくゆうしそくこ) 猿投(さなげ) 平安時代(9世紀) 高18.8cm 口径8.8cm 胴径 22.9cm 九州国立博物館蔵 平安時代に日本の窯業(ようぎょう)の中心地であった愛知県の猿投窯で製作された緑釉陶器です。短い頸をもつ壺に四つの足をつけた四足壺と呼ばれる壺です。内と外に緑色の釉を厚く掛けています。この器形は中国の小型の四足壺を猿投窯が模倣したもので、多くは火葬蔵骨器(かそうぞうこつき)として用いられていました。猿投窯の緑釉技術到達点を見事に体現しています。 中世になると生活に密着した実用品(壺や甕など)が多量に作られ、中世末には六古窯とも呼ばれる瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前の6ヵ所に窯が集約され発展し、各地に流通しました。古代に比して中国陶磁は膨大な数になり、その中でも人気のある製品が瀬戸窯で作られました。第2章「発展」では、窯が集約され生活用具をもとに発展していくやきもの、中国陶磁の模倣をもとに独自の釉をかけるやきものとして発展した瀬戸窯のやきものをご紹介します。 □ 主な作品 ![]() 鉄釉巴文四耳壺(てつゆうともえもんしじこ) 瀬戸 鎌倉時代(14世紀) 高31.6cm 口径11.0cm 高台径10.9cm 東京国立博物館蔵 肩が張り、裾がすぼまる胴部に、やや大きな口頸部(こうけいぶ)を有します。胴部上半部に櫛目で二段に区画し、そこに印花で三つ巴の文様を施し、褐色に発色する鉄釉(てつゆう)が掛けられています。この四耳壺の器形は、瓶子(へいし)とともに中世瀬戸窯を代表する器形です。 桃山時代の新たな文化である茶の湯はやきものの造形を大きく変え、それはまさに創造の爆発でした。茶人たちの鋭敏な審美眼は今までのやきものの世界にはなかったものを作り上げ、そこにやきものにおける日本らしさを見ることができ、織部や志野、楽など茶道具として作られた名品が生まれました。第3章「爆発」では、器をわざといびつな形にしたり、思いもかけない文様を施したりとまさに造形が爆発した桃山の茶陶の数々を紹介いたします。 □ 主な作品 ![]() 鼠志野草花文大鉢(ねずみしのそうかもんおおはち) 桃山時代(16世紀) 高8.8cm 口径31.8cm 文化庁蔵 径が30cmになる類例の極めて少ない大鉢で、文様は下地を掻き落とした線刻を主に用い、全体に釉を掛けています。内面には中央に太湖石(たいこせき)、撫子(なでしこ)風の草花文を大きく表し、周辺には宝尽文(たからづくしもん)と幾何文(きかもん)を廻らしています。変化のある器形に文様がくっきりと巧みに施された鼠志野を代表する優品といえるでしょう。 ![]() 【重要文化財】赤楽(あからく)茶碗 銘 無一物(むいちもつ) 長次郎(ちょうじろう)作 桃山時代(16世紀) 高8.6cm 口径11.2cm 台径4.8cm 頴川(えがわ)美術館蔵 長次郎の楽焼(らくやき)茶碗は赤楽茶碗から始まったと考えられています。この茶碗は底部が厚く成形され、腰から高台にかけて大きく斜めにすぼまり、初期の茶碗の中でもかなり早い時期に製作されたと推測されています。赤楽茶碗は赤い胎土に透明釉を掛けたもので、この茶碗にも内外面全体に透明釉が掛けられている。長次郎の赤楽茶碗を最も代表する名品で、内箱蓋表(うちばこふたおもて)に「無一物 宗室(そうしつ)(花押)(かおう)」と仙叟宗室(せんそうそうしつ)が墨書で記しています。 朝鮮半島と中国からの技術を取り入れた有田の磁器は、染付だけではなく、日本の油絵とも称される古九谷様式、余白に美を見出した繊細な柿右衛門様式の色絵、金の彩色を多用する金襴手などの新しい焼き物を次々に生み出しました。清朝の海禁令により、中国陶磁器の代わりに伊万里(有田)の染付と柿右衛門様式や金襴手(きんらんで)の色絵は世界の市場を席巻しました。第4章「飛翔」では、伊万里(有田)で陶器から磁器への技術的な飛翔をとげたやきもの、磁器が誕生して50年もたたないうちに世界へ飛翔した伊万里(有田)のやきものの数々をご覧頂きます。 □ 主な作品 ![]() 【重要文化財】色絵花卉文輪花鉢(いろえかきもんりんかばち) 有田・柿右衛門様式 江戸時代(1670〜90年代) 高11.2cm 口径23.5cm 高台径 11.2cm 広島県立美術館蔵 濁手(にごしで)と呼ばれる純白の素地に余白を充分にとり、赤・黄・緑・青・黒の上絵具で彩色している。内面には太湖石(たいこせき)から左右に枝を大きく伸ばす大小の花卉文、左右に大きく展開する大小の菊花を描いています。 ヨーロッパ最大の陶磁器収集家であったザクセンのアウグスト一世(1670〜1733)のかつての収集品で、完成期の柿右衛門様式を代表する名品の一つで、ヨーロッパでの収蔵先が知られる極めて貴重な作品です。 ![]() 色絵赤玉雲龍文鉢(いろえあかだまうんりゅうもんはち) 有田 江戸時代(18世紀) 高10.2cm 口径25.8cm 田中丸コレクション 内底には雲の間に浮かぶ凛々しい存在感のある龍が描かれ、内側面には、萌黄色の地をもつ丸文と半赤玉を規則的に並べ、その間に格子状にした区画に花文を入れています。萌黄色の丸文には、団龍文(だんりゅうもん)と宝珠文(ほうじゅもん)を交互に描いています。底部には大明萬暦年製(だいみんばんれきねんせい)の文字が見え、外側面は鳳凰文と草花文(そうかもん)を均等に配しています。豪華絢爛な金襴手のなかでも優品として知られています。 鍋島焼は国内最高の技術力を結集し採算を考えず、大名や将軍家など限られた人々への贈り物として作られたやきものでした。各地の藩窯が茶道具を作製する中で、鍋島は生活用の皿を中心に一尺、七寸、五寸、三寸という定型化された木盃形(もくはいがた)とよばれる円形の皿をつくり、そこに洗練された斬新なデザインや絵画的な意匠を描きました。第5章「洗練」では、強い規格性をもちながら洗練されたデザインや文様をもつ鍋島の魅力をご紹介します。 □ 主な作品 ![]() 色絵組紐文皿(いろえくみひももんさら) 鍋島藩窯 江戸時代(1690〜1720年代) 高5.5cm 口径20.4cm 高台径11.0cm 林原美術館蔵 総(ふさ)をつけた四本の組紐を、内面中央に余白を大きく取り、周縁(しゅうえん)に沿って配した文様構成で、組紐の青は染付を用い、赤は上絵具により描いています。裏面には染付で、高台には櫛歯文(くしばもん)、体部の三方には七宝結文(しっぽうむすびもん)を廻(めぐ)らしています。この組紐の図案は鍋島藩窯独自のもので、四本の組紐という単純な主題を充分に熟慮し、白地の余白を生かしつつ、円形の画面の中に見事なバランスにより緊張感を抱かせる見事な構図を生み出し、中型七寸皿の図案中では最高との評価を得ている作品です。 京焼は都に育まれた文化を体現するやきもので、人々の京都への憧れに答えるべく高級品志向のやきものとしてつくられました。そして、日本のやきものの歴史で名工と呼ばれる人々が次々に生まれました。野々村仁清(ののむらにんせい)、尾形乾山(おがたけんざん)、奥田頴川(おくだえいせん)、仁阿弥道八(にんあみどうはち)などは、それぞれ得意とする技術で多種多様な京焼の世界を生み出しました。第6章「風雅」では、名工たちの作ったみやこの香りのする風雅なやきものを紹介いたします。 □ 主な作品 ![]() 【重要文化財】色絵牡丹文水指(いろえぼたんもんみずさし) 京都 野々村仁清作 江戸時代(17世紀) 高14.0cm 口径15.5cm 底径9.9cm 東京国立博物館蔵 表面には腰まで半失透(はんしっとう)白釉を掛け、胴の四方には格狭間(こうざま)形の窓をつくり、金泥、銀泥や赤色で牡丹の花を描き、周囲は花菱(はなびし)の地文様(じもんよう)で埋めています。口の周りには波涛(はとう)文を銀泥で表し、地は赤で埋め、底部左側中央に「仁清」の大印を捺(お)しています。中国陶磁の窓絵の構図に倣いながらも、文様は巧みに和様化され、蒔絵風の趣を生み出しています。丸亀藩京極家(まるがめはんきょうごくけ)に伝来し、昭憲皇太后に献上された後、帝室博物館(現東京国立博物館)に下賜された優品としても有名です。 ![]() 色絵紅葉図透彫反鉢(いろえもみじずすかしぼりそりばち) 京都 尾形乾山作 江戸時代(18世紀) 高12.0cm 口径20.0cm 高台径9.8cm 個人蔵 口縁部が大きく外に開く乾山が得意とした反鉢で、口縁の下には切り透かしを施します。胴部の内外側面には紅葉を林のように多数描き、一部には透彫りを加えています。紅葉は赤・黄・緑・白泥で彩色し、葉脈を金銀彩で表しています。内面には流水も描いて竜田川(たつたがわ)の意匠としています。この反鉢は外側面と内側面が上から覗き込んだ時に一体となって竜田川の情景を映し出す名品です。外面底部には「乾山」銘を銹絵(さびえ)で記しています。 明治6年(1873)のウィーン万国博覧会以降、政府の殖産興業事業の一環として諸外国の技術やデザインをとりいれた絢爛豪華なやきものは欧米にさかんに輸出され、宮川香山(みやがわこうざん)などのやきものが好評を得ました。一方で、日本や中国などのやきものの歴史や技法の解明・再現をおこなった板谷波山(いたやはざん)や石黒宗磨(いしぐろむねまろ)、一般民衆の日常の生活の中に陶芸のヒントを得た浜田庄司(はまだしょうじ)などは、伝統に学びながらもそれに留まらない独創的なやきものをつくりました。第7章「独創」では、近現代の作家たちの独創的なやきものの世界を紹介いたします。 □ 主な作品 ![]() 葆光彩磁瑞花鳳凰文花瓶(ほこうさいじずいかほうおうもんかびん) 板谷波山(1872〜1963)作 大正12年頃(1923頃) 高 26.5cm 胴径 24.3cm 出光美術館蔵 板谷波山は本格的に美術教育を受け、作陶(さくとう)に進んだ最も初期の陶芸家であり、近代陶芸の指導者として先駆的役割を果たしました。薄肉彫り技法を基盤として色彩と文様が効果的に一体化するように独自に考え出されたのが「彩磁」と「葆光彩磁」の釉薬技法(ゆうやくぎほう)です。包み込み、境を曖昧にし、うっすらと光沢があるという「葆光」という名称通りに、多彩な色彩で彩られた釉下文様が淡いベールに包まれたような独特の効果を発揮しています。
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