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特別展 未来への贈りもの - 中国泰山石経と浄土教美術 - 平成19年4月10日(火)〜6月10日(日) 特別展示室 ![]() インドで興った仏教は、中国で漢訳されることにより、中国を中心とした東アジア文化圏で大きなひろがりをみせていきました。そのひろがりにより、漢訳された経典とともに、様々な仏教思想や歴史観も周辺諸国に受け入れられていきました。その中のひとつに、釈迦の入滅後、その教えは正法(しょうほう)・像法(ぞうほう)・末法(まっぽう)と時代が下るにつれて廃(すた)れていくという仏教独自の歴史観があります。いわゆる末法思想です。 もともとは仏教修行者に危機意識を喚起するものでしたが、人々を取り巻く災害や疫病の流行、社会的な混乱などを背景として、それは単なる知識ではなく現実問題として人々の危機感と結びついていきました。末法思想が伝えられた6世紀の中国では、岩肌に経典を刻むことにより仏の教えを不朽のものにしようとしました。それから五百年後の日本では、西暦1052年を末法第1年として、末法の人々を救うとされた浄土教がひろがりをみせ、法華経の護持が唱えられました。そして、はるか遠い未来へ経典を伝えようと、法華経をはじめとした写経を土中に埋納する経塚(きょうづか)が全国的に営まれました。 末法の世の中にあって、経典を後世の人々へ伝えようとする想いは、国と時代、方法の違いはあっても同じです。未来に何を伝え残すべきか、今から約千五百年前の中国と約千年前の日本において出した答えは、正しい仏の教えでした。 現代を生きる私たちが未来に残すべきものとは何なのか、彼らが遺してくれた「未来への贈りもの」を享受し、そのことを考えてみませんか。 .................................................................................... 観る前に読む『用語解説』 [読む] きゅーはくエデュケーション『経箱を作ろう!』 [読む] 観る前に読む『作品解説(彫刻)』 [読む] 今から観る『国宝一覧』 [読む] ....................................................................................
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日本へ仏教が伝わった6世紀。中国では、仏教を厚く信仰した仏教国家が生まれ、壮大な仏教芸術が花開いた。そこでは、戦乱の世にありながら、国家の威信をかけて巨大な石窟が営まれ、都には多くの寺院が建てられた。山岳では、露天の岩肌をキャンバスにして、空前絶後の巨大経典が刻まれた。 かくも壮大な経典がなぜ創られたのか。その背景には、亡国の危機とともに、皇帝主導による激しい排仏の悲劇があった。まさに、仏教の暗黒時代ともいえる末法到来の予言が現実のものになろうとしていた。人々は、岩肌に経文を刻みつけることで、仏の教えを不朽のものにしようとした。その代表的なものが山東省の泰山石経である。山東省はこのほかにも多くの石経がのこされている。 時は流れ現代。この巨大な経典に挑むひとりの日本人拓本家が現れた。孤高の拓本家・井上拓歩氏(いのうえたくほ)(77歳、高知市在住)。彼は長年にわたる中国当局との交渉を経て、最大長35メートルの巨大経典の採拓を実現させた。 本展では、展示室のほか、25メートルの天井高を誇る九州国立博物館のエントランスホールにもこの巨大な拓本が掲げられる。 第1章 中国摩崖石経の世界 6世紀の中国では、度重なる戦乱と廃仏政策により、仏教の危機が叫ばれました。釈迦が亡くなったのち、次第に仏法が廃れ乱世が訪れるという末法思想が現実のものになろうとしたのです。その中で仏の教えを永遠に遺そうと、経文を大地の岩肌に刻んだ人々がいました。 □ 主な作品 ![]() 重要文化財 銅造弥勒仏立像(どうぞうみろくぶつりゅうぞう) 中国・北魏時代 太平真君4年(443) 九州国立博物館所蔵 展示期間:4月10日〜6月10日 西暦444年、中国では道教を信奉する皇帝が大規模な排仏運動を行った。本像はその前年に造られたもの。仏教界にとって受難の時であったが、その教えが絶えることはなかった。当時の篤い信仰心を伝える貴重な作品。 ![]() 泰山石経(山東省泰山摩崖刻経拓本)(たいざんせっきょう) 原品:中国・北斉時代 6世紀 個人蔵 展示期間:4月10日〜6月10日 仏の教えを後世に残そうと、岩肌に経典が刻まれた。本展ではその拓本を一挙公開。これまで日本の展覧会では味わうことのできなかった中国仏教の壮大なスケールと、類い希なる書法美を心ゆくまで堪能してほしい。 11世紀の日本では、疫病の流行、災害の発生、戦乱の勃発などが相次ぎ、知識でしか知らなかった末法思想が現実味を帯びてきました。高まる社会不安の中で、人々を救済する信仰として浄土教がひろまり、極楽浄土への憧れを描いた浄土教美術が花開いたのです。 □ 主な作品 ![]() 国宝 釈迦金棺出現図(しゃかきんかんしゅつげんず) 平安時代・11世紀 京都国立博物館所蔵 展示期間:4月10日〜4月22日 涅槃(ねはん)に入った釈迦が仏母摩耶夫人(まやぶにん)のために金の棺の中から身を起こし説法する姿を描く。釈迦再生の奇跡を眩(まばゆ)いばかりの金箔による細工と多彩な色づかいにより表している。優れた構図と高い表現性を備えた平安時代を代表する仏画の名品である。 ![]() 国宝 辟邪絵 栴檀乾闥婆(へきじゃえ せんだんけんだつば) 平安〜鎌倉時代・12世紀 奈良国立博物館所蔵 展示期間:5月 8日〜6月10日 疫鬼(えきき)を退ける善神、栴檀乾闥婆(せんだんけんだつば)を描く。この神様は、もともとインドの音楽神だが、法華経普門品(ほけきょうふもんほん)(観音経)(かんのんきょう)にいう観音三十三身の一つでもあった。童子を十五悪神の危害から守護すると信じられた。後白河(ごしらかわ)法皇コレクションの一つと推測されている。 ![]() 国宝 阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎) (あみだにじゅうごぼさつらいごうず(はやらいごう)) 鎌倉時代・13〜14世紀 京都・知恩院(ちおんいん)所蔵 展示期間:5月22日〜6月10日 極楽浄土から阿弥陀如来と菩薩たちが、険しい山々を越えて往生しようとする僧侶のもとに飛来する。そのスピード感あふれる情景から、本図は「早来迎」(はやらいごう)の異名で親しまれる。鎌倉時代の来迎図の最高傑作である。 すべての人々が成仏できると説く法華経は、末法への危機感を強める平安貴族の心を捉えました。彼らは法華経を唱え、普賢菩薩などの法華経護持の仏を拝し、贅と美を尽した装飾経を納めることで、現世の安穏と極楽往生を切に願いました。 □ 主な作品 ![]() 国宝 宝相華蒔絵経箱(ほうそうげまきえきょうばこ) 平安時代・11〜12世紀 滋賀・延暦寺所蔵 展示期間:4月10日〜5月6日 正倉院宝物を彷彿とさせる古様の器形に繊細な意匠の蒔絵を施した優品。金・青金(金銀の合金)・銀の研出蒔絵で宝相華唐草の団花文(だんかもん)と円文(えんもん)をシンメトリックに配置する。唐風から和風への過渡期の作品として注目される。 ![]() 重要文化財 装飾法華経(そうしょくほけきょう) 鎌倉時代・12〜13世紀 兵庫・太山寺(だいざんじ)所蔵 展示期間: 陀羅尼品(だらにほん)4月10日〜4月30日 妙音品(みょうおんほん)5月1日〜5月20日 嘱累品(ぞくるいほん)5月22日〜6月10日 太山寺に伝来した装飾法華経で、32巻からなる。茶地の経紙に金銀箔を撒(ま)き、冒頭には普賢菩薩(ふけんぼさつ)と十羅刹女(じゅうらせつにょ)を鮮やかに描く。普賢菩薩は、法華経を信仰する者を守護するとされた。※写真は陀羅尼品 仏法の消滅を恐れた人々は、仏の教えをはるか遠い未来へ伝えようと経巻を経筒に入れて土中に埋め、それによって死者の冥福と自らの極楽往生を祈りました。九州では固有の山岳信仰と結びつくことで独特な経塚文化が発展し、多くの遺宝が伝わりました。 □ 主な作品 ![]() 国宝 銅板法華経・銅筥(どうばんほけきょう・どうばこ) 福岡県豊前市求菩提山出土 平安時代・康治元年(1142)福岡・国玉神社所蔵 展示期間:4月10日〜6月10日 求菩提山(くぼてさん)普賢窟に埋められていた。銅板経を納めた銅筥は四面に釈迦(しゃか)・多宝(たほう)、阿弥陀三尊、不動明王、毘沙門天像を線刻し、全面に鍍金(ときん)を施す。底部に康治(こうじ)元年(1142)の紀年銘がある。銅板経は33枚からなり、法華経8巻と般若心経を上下二段に分けて線刻する。 ![]() 重要文化財 銅経筒・金銅菩薩立像(どうきょうづつ・こんどうぼさつりゅうぞう) 福岡県太宰府市宝満山経塚出土 平安時代・12世紀 文化庁所蔵 展示期間:4月10日〜6月10日 宝満山西南麓出土と伝える銅製鋳造の経筒。本品に紀年銘はないが四王寺山から出土した同じ形の経筒には長治三年(1106)の銘があり、近い時期が想定される。飛鳥〜奈良時代の金銅製菩薩立像がともに出土したことで著名である。 ![]()
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