メインロゴ 九州国立博物館
メニューバー01 メニューバー02 メニューバー03 文字 変更 文字 小 文字 中 文字 大

トップページ
お知らせ

催し物
ご利用案内
収蔵品ギャラリー
データベース

よくあるご質問

Webオリジナル ろじ


特別展
......................
文化交流展示
......................
展示室情報
文化交流展示室
展示室案内図
......................
展示ピックアップ
:ページ印刷
IIテーマ「埴輪と石人の立つ風景」


展示期間 平成17年10月16日〜平成19年3月15日(予定)

解説
 文化交流展示室の第4室「にぎやかな古墳のまつり」に入ると、入り口でにこやかに迎えてくれるのがこの埴輪。そのスマイルの美しさゆえに、「九博の微笑みの貴公子(ヨン様)」と密かに呼んでいるのだが、密かすぎていっこうに広まる気配がない。ただ、左肩に鍬・腰には鎌を付けているから貴公子ではなく、農民というのが通説だ。だから題箋にも「耳飾りを着けた農夫」として解説した。この埴輪、考古学の世界では『農民と耳飾り』という本の題材になった資料として、知らぬ人が無いほど有名なものだ。東京国立博物館に同型品がもう1点あって、6世紀の作群馬県出土とされる。埴輪は北海道をのぞく日本列島の大半で流行したが、特に東日本で造形的に優れたものが多く出土する。よく土産物屋で埴輪と称して売られている「踊る人」や「甲を付けた武人」も東京国立博物館に収蔵されているのも関東出土である。さらに近年では、発掘調査件数増加も手伝って、歯をむき出しにして「ガハハッ」と大笑いする埴輪も出土した。しかし、これは英語で言えば、ラフ(laugh)よりスマイル(smile)だ。では、彼はなぜ笑っていたのだろうか?

展示リスト
名称:耳飾りを着けた農夫(みみかざりをつけたのうふ)
員数:1点
時代:古墳時代(6世紀)
出土地:群馬県赤堀村下触字石山出土
底径:16cm、高さ93.2cm

展示資料の紹介


耳飾りを着けた農夫

 そこで私はある想像を試みた。とある夕暮れ。榛名(はるな)連山に赤々と夕陽が沈む。彼の耳に着けられた唯一のファッションであるイヤリングがきらめく。その顔には今日一日の成果に満足したかのような、充実感があふれる。「あぁ、今日も無事に一日が終わったなぁ。」彼は愛する妻子の待つ家へ歩を早めた。と、ここまでならどこでもあり得る平凡な日常のヒトコマ。しかし、彼の住んでいた毛野地域(現在の群馬県)には特別な事情があった。

 それは榛名山の大噴火だ。上毛三山の一つとして風光明媚なハイカーたちのメッカであるこの山は、古墳時代には爆発を繰り返す暴れ山であった。群馬県渋川市(旧北群馬郡子持村)に所在する黒井峯(くろいみね)遺跡では、厚い軽石と火山灰の下から古墳時代の集落がパックされた状態で見つかった。イタリアのポンペイ同様、一つの村が火山で消滅したのだ。しかも、災害はその瞬間だけではない。降灰と覆い尽くす噴煙で、この地域の農業生産は壊滅的な打撃を被ったに違いない。しかも、彼が住んでいた1500年ほど前には、発掘調査で確認されているだけでも、2回の大きな噴火が確認されている。火山災害が原因となった、生きるか死ぬかの困窮の中で、希望を捨てずに、にこやかに生きる庶民を写した埴輪。彼の微笑みは、被災からの復興に向けて力強く立ち向かう地域の象徴として、古墳に樹立されたのかもしれない。その姿を見ながら、どんなに多くの人たちが勇気づけられたことだろう?それは、いつの時代も変わらない明日への希望を抱いて生きる生活者の姿に重なって、今も私たちを励ましてくれる。

このページのトップへ

このサイトについて::お問い合わせ::関連リンク集::サイトマップ
Copyright © 2006 Kyushu National Museums